北米スポーツ事情・NHL編

Los Angeles Kingsというチーム
前回は、北米スポーツを「お金」の面から解説したところ、NFL(アメフト)がメインになってしまい、筆者の好きなNHL(アイスホッケー)を語ることができませんでした。
よって、今回は、筆者の大好きなNHL Los Angeles Kingsというチームについてざっくりとみていこうと思います。
1 Los Angeles Kingsってどんなチーム?
Los Angeles Kingsは、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスに本拠を置く、NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)所属のプロアイスホッケーチームです。1967年にNHLに加盟し、現在はパシフィック・ディビジョンに所属しています。
現在のKingsは、NHLの中でも特に攻撃的なプレーを得意としています。
チームは、スピードとパワーを組み合わせたプレーを行い、オフェンスとディフェンスの両方で安定した成績を残しています。
また、高いパスセンスと素早い反応力を持つ若い選手を育成しているため、オフェンスとディフェンスの両方で安定した成績を残しています。
特に守備面で安定した成績を残しています。守備面でも攻撃的なプレーを行えるように、ディフェンスラインを強化しているのです。
そして、Kingsは、NHLの中でも特にファンサポートが高いチームとして知られています。チームは、毎試合を通じて多くのファンを動員していますし、ファンサポートを高めるために、様々なイベントを開催しています。
2 Los Angeles Kingsの歴史
1967-1975
1967年に、カナダの事業家Jack Cooke氏が$2 millionで、フランチャイズを獲得して、Los Angeles Kingsは、1967年6月5日に設立されました。
Cooke氏は「王族の雰囲気」を持たせるためにKingsと名付けて、王族の伝統カラーである紫と金色をオリジナルのチームカラーに選んだようです。当時、この配色は人気があったようで、NFLのMinnesota Vikingsや、Cooke氏所有のNBAのLos Angeles Lakersでも採用されました。
1975-1988
1982年、Dr. Jerry Buss氏がKings、Lakers、そしてThe Forum(ホームアリーナ)を $67.5 millionで購入して、Kingsは Wayne Gretzkyが率いるエドモントン・オイラーズを逆転することに成功した、「マンチェスターの奇跡」と呼ばれる偉業を成し遂げています。
1988-1995
1987年、コイン収集家のBruce McNall氏(メトロポリタン美術館の館長Thomas Hoving氏の証言によると、McNall氏は、コイン収集ではなく、Robert E. Hecht氏のパートナーとして古美術物を密輸して儲けたとのことです。)がDr. Jerry Buss氏からKingsを購入して、チームカラーをシルバーとブラックに変更、1988年8月9日にリーグ最高の選手であり、カナダの国宝である Wayne Gretzkyを獲得しました。
1993年のスタンレーカップ決勝でKingsはMontreal Canadiensと対戦しましたが、結局ゲーム5に4-1で敗れています。
1995-2009
1994年3月23日に、 Wayne Gretzkyはキャリア通算802点目のゴールを決め、ゴーディ・ハウを抜いてNHLの歴代最多得点者となりました。
1995年、オーナーのBruce McNall氏はバンク・オブ・アメリカから融資を受けられず、McNall氏は最終的にIDB Communicationsの創設者であるJeffrey Sudikoff氏と元マディソン・スクエア・ガーデン社長のJoseph Cohen氏にクラブを売却しました。
後に、McNall氏の浪費により、破産に追い込まれ、その為、多くの強豪選手をトレードせざるを得ず、 Wayne Gretzkyも1996年にセントルイス・ブルースに移籍することになりました。
1995-96シーズンの開幕前日に、破産裁判所はPhillip Anschutz氏とEdward P. Roski氏によるキングスの買収を$113.5 millionで承認しました。
1999年に、KingsはLakersと共にAnschutz氏とRoski氏が建設したロサンゼルスダウンタウンのステイプルズ・センターに拠点を変えました。
2003年のNHLドラフトでDustin Brown(2003年)、Anze Kopitar、Jonathan Quick(ともに2005年)、Drew Doughty(2008年)などの選手がドラフト指名され、Kingsが再びプレーオフに進出するのに貢献することになるのです!
2009-2014
2009-10シーズン中に、チームはゴールテンダーのJonathan Quick、ディフェンスマンDrew Doughty、そしてフォワードDustin Brown、Anze KopitarとJustin Williamsという素晴らしい選手とともにチームを構築していきました。
2011-12年シーズンのスタートが悪かったため、Terry Murray監督が解雇され、後任にDarryl Sutter監督が選ばれました。そして、Kingsは、ついにこのシーズンでフランチャイズ史上初のスタンレーカップを獲得、ゴールテンダーのJonathan QuickはプレーオフMVPとしてコン・スマイストロフィーを獲得しました。
2013-14シーズン、スタンレーカップファイナルで、New York Rangersと対戦し、ステイプルズ・センターでのゲーム5の2回目のオーバータイムで、Alec Martinezのゴールにより2度目のスタンレーカップを獲得しました。ファイナルで2得点、プレーオフを通して3つのゲーム7で得点したJustin WilliamsはプレーオフMVPとしてコン・スマイストロフィーを獲得したのです!
筆者はこの時会場にいて、号泣でした。
2014-現在
2016年6月16日、Kingsは過去8シーズンチームを率いてきたDustin Brownに代わり、Anze Kopitarをチーム史上14人目のキャプテンに指名しました。
2016-17シーズンオフに、プレイオフを逃したために、ゼネラルマネージャーのDean LombardiとヘッドコーチのDarryl Sutterを解雇しました。アシスタントジェネラルマネージャーのRob Blakeは新しいゼネラルマネージャーに昇格し、John Stevensは数シーズンキングスのアソシエイトヘッドコーチを務めた後、ヘッドコーチに就任しました。
2018年11月4日、ヘッドコーチJohn Stevensを解雇し、Willie Desjardinsを後任に迎えましたが、5シーズン振りにプレーオフを逃しました。
2019年4月16日にTodd McLellanがヘッドコーチとして採用され、2019-20シーズンは、 Trevor Lewis, Jack Campbell, Kyle Clifford, Derek Forbort and Alec Martinezといった選手たちが、トレードやフリーエージェントを通じて、チームを離れることになりました。
2021-22年シーズン、KingsはオフシーズンにフォワードのPhillip Danault と Viktor Arvidssonを獲得した。また、ブルーラインの存在感を高めるために、ディフェンダーの Alexander Edlerと契約しました。この年、4シーズンぶりにプレーオフに出場、そして、Dustin Brownにとって最後のシーズンとなりました。
3 ホームアリーナ
ロサンゼルスのダウンタウンにあるCrypto.com ArenaがKingsの本拠地です。
1999年のシーズン開始時に、ロサンゼルスのダウンタウンにあるCrypto.com Arena(2021年まではStaples Centerが命名権を保有)に移転するまで、32年間、ロサンゼルス郊外のイングルウッドにあるThe Forumでプレイしていました。
The Forumの建設は1967-68年のシーズン開始時にはまだ完了していなかったため、Los Angeles Kingsは、1967年10月14日に隣のロングビーチ市のLong Beach Arenaで最初のシーズンを迎えています。
4 オーナー&ジェネラルマネージャー
オーナー
1995年より、Philip Anschutz氏とEd Roski氏がオーナーです。
83歳のPhilip Anschutz氏は、エネルギー、鉄道、不動産、スポーツ、新聞、映画、劇場、アリーナ、音楽などさまざまな業界の企業を支配する米国の億万長者実業家です。2021年、フォーブスは彼を$10.1 billionの推定純資産でアメリカで66番目の富豪にランク付けしています。
84歳のEd Roski氏は、アメリカの実業家、慈善家、ベトナム戦争で勲章を受けた退役軍人、また、アートコレクターです。2021年、フォーブスは彼を$6.7 billionの推定純資産でアメリカで144番目の富豪にランク付けしています。
ジェネラルマネージャー
2016年より、Rob Blake氏がGeneral managerを努めています。
Rob Blake氏は、1988年にドラフトでKingsに入団して、1993年のスタンレーカップファイナルに出場、ジェームズ・ノリス記念トロフィーを受賞しています。また、11シーズン中、5シーズンにわたりチームのキャプテンを務めて、2001年にコロラド・アバランチへ移籍しました。
2014年にはKingsのAssistant General Managerとして採用されて、4年後の2014年、ブレイクはホッケーの殿堂入りを果たしました。
2017年4月10日、KingsはBlake氏をチームの副社長兼General managerに任命しました。
Blake氏はカナダ代表として1998年、2002年、2006年の冬季オリンピックに3大会連続で出場し、2002年には金メダルを獲得、トリプル・ゴールド・クラブの11人目のメンバーとなっています。
5 ヘッドコーチ
2019年より、Todd McLellan氏がヘッドコーチを努めています。
ホッケープレーヤーとしてのMcLellan氏のキャリアは、1986年のNHLエントリードラフトで、New York Islandersから5巡目で指名されて、Islanders傘下のAHL Springfield Indiansで2シーズンプレイ、NHLでは合計5試合に出場しています。
コーチとしてのキャリアは次の通りです。
1997年 WHLエグゼクティブ・オブ・ザ・イヤー、2000年にコーチ・オブ・ザ・イヤーに選ばる。
2003年 AHLのヒューストン・エアロズカルダーカップに導いた。
2008年 Red Wingsで初のスタンレーカップを獲得。
2008年 サンノゼシャークに移籍。
2015年 在任期間終了。
2015年 世界選手権ではカナダ代表のコーチを務め、チームは10勝0敗の完全優勝で2007年以来の優勝を果たす。
2015年 Edmonton Oilersのヘッドコーチに就任、1990年以来6回目のプレーオフシリーズ制覇を達成。
2018年 オイラーズから解雇される。
2019年 Kingsはヘッドコーチに指名。
6 マスコット
2007年からKingsのマスコットをベイリーくんが努めています。
身長:6フィートのライオン(たてがみを含むと6フィート4インチ)です。
ジャージの番号:72番を着ていますが、なぜ72かというと、それはロサンゼルスの平均気温だからなんだそう!
名前の由来:2001年9月11日のテロ攻撃で亡くなるまで7年間プロスカウトのディレクターを務めたガーネット「エース」ベイリーに敬意を表して名付けられました。
2代目:ベイリーくんは、1990年代初めの雪豹のキングストンに続く2代目のマスコットです。
不祥事:2018年にアイスクルーの元メンバーよりセクハラ訴訟を受けて、ベイリーを演じているTim Smith氏を解雇しました。Smith氏は、マスコットであると同時に、チームのゲームプレゼンテーションとイベントのシニアマネージャーを務め、アイスクルーを監督していました。Smith氏は、2017年にも男性から、エレベーターに乗っている間に尻をつかまれたとセクハラで訴えられていますが、2018年7月に当事者間で和解しています。
7 Kingsで現在最も稼いでいる選手
ディフェンスマンのDrew Doughty選手が今現在最も稼いでいる選手となります。
8年/$88,000,000の契約を結んでいます(サインボーナス$20,000,000、保証$88,000,000、年平均年俸$11,000,000)。
2022-23年は、基本給$7,000,000、契約ボーナス$4,000,000を獲得し、Cap Hitは$11,000,000です。
8 Drew Doughtyという選手とは
今現在最も稼いでいるDrew Doughty選手についてみていきましょう。
生い立ち
カナダのオンタリオ州ロンドンで生まれました。
Doughty選手は、1歳の誕生日にミニスティックをもらったのがきっかけでホッケーと出会い、2歳までにスケートを始め、4歳までプレイしていましたが、ゴールキーパーとしてサッカーもプレイしていました。
サッカー選手として14歳以下の州代表チームにも選ばれていましたが、16歳でホッケーに専念するためにサッカーをあきらめたようです。
後に、Doughty選手は、サッカーでゴールキーパーをしていたことが、ホッケーで選手やゲームに対する意識を高めるのに役立ったと話しています。
ちなみに、母方の祖父母は1950年代にポルトガルからカナダに移住し、父方の祖父母は1970年代にイギリスからカナダに移住しているようです。
私生活
Doughty選手は、2018年8月8日にオンタリオ州ムスコカで高校時代の恋人Nicole Arruda と結婚しました。
9 まとめ
今回Kingsの歴史を調べていき、倒産の危機があったことなど、ファンの私でも知らないことがたくさんありました。
オーナーがたくさんのメディアを抱えているお金持ちということは知っていましたが、二人とも凄いビリオネアだったのですねー!驚きました!
そして、いつもいつもたくさんの観客を盛り上げてくれるマスコットのベイリーくんですが、今後は不祥事を起こさないことを祈ります。
もしも読者のみなさまが、今後Kingsのゲームを観戦する機会がありましたら、Drew Doughty選手のスケーティング技術が素晴らしいのでぜひ注目して欲しいです。個人的には、フィギュアスケート選手としても活躍できるのではと思っています。
今回は、とてもざっくりとした説明になってしまいましたので、アイスホッケーを知らない方にとっては、わかりずらい部分も多かったのではないかと思います。
次回はNHLについてわかりやすく説明させていただきたいと思っています。
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