クラウドサーバー導入のメリット

クラウドサーバー導入のメリットやデメリットについて解説していきます。
近年では、SaaS(Software as a Service・インターネット経由で機能を提供するサービス)などのクラウドサービスが普及してきて、システム開発が比較的簡単に迅速に行えるようになってきました。
本記事では、クラウドサーバー導入のメリットやデメリットについて解説していきたいと思います。
1. そもそもクラウドって何?
クラウドとは「クラウド・コンピューティング」の略で、インターネット上の「どこかにある」データやプログラムにインターネットなどのネットワーク経由で「どこからでも」アクセスできるのがクラウドです。
なぜクラウドと呼ばれているのかは諸説あり、「クラウド」という言葉を最初に使ったのは、グーグルの創業者であるエリック・シュミットで、2006年にのスピーチで、「データもプログラムも、サーバ群の上に置いておこう。どこか雲(クラウド)のなかにあればいい」という発言と言われています。
インターネット(雲=cloud)の向こう側の目に見えない場所にあるサービスを利用していることや、crowd(クラウド)と書いて、集約したシステムという意味でクラウドと呼ぶようになったという説もあります。
2. クラウドサーバーとは?
クラウドサーバーとは、インターネットなどのネットワークを介して利用することを前提とした、クラウド環境に設置されたサーバーのことです。
オンライン上にあるサーバーですが、実際に物理的なサーバーが存在しないというわけではありません。クラウドサーバーを提供している管理会社が複数のサーバーを管理して、顧客にインターネットを通じてサービスを提供しています。このことから、仮想サーバーと呼ばれることもあります。
クラウドサーバーは、クラウドサーバーを提供している管理会社が物理的なサーバーに対して「仮想化ソフトウエア」をインストールすることで、1台のサーバーを複数台のサーバーへ仮想的に作成して、各ユーザーへ提供するサービス形態です。
仮想化されたサーバーは1VM(Virtual Machine)と呼ばれて、それぞれ1台1台が別のサーバーとして成り立っています。
3. クラウドサーバーのメリット
クラウドサーバーは従来のサーバーを購入して利用する方法と比較して、下記のようなメリットがあります。(
(1) 初期コストを抑えることができる
サーバー環境を整える際の初期費用を大幅に軽減できる点です。通常、自社でサーバーを導入する場合、さまざまな機器の調達や設置のためのコストが大きな負担となりますが、クラウドサーバーであれば初期費用が無料のものも多くあります。
(2) 運用コストが削減できる
クラウドサーバーの場合、サーバーの管理・運用はプロバイダー側が行ってくれるため、ユーザー側で管理をする必要はありません。
(3) 災害等によるリスク低減ができる
ネット環境さえあれば、どこからでもアクセスすることができるため、地震や台風などの自然災害が発生して出社が難しい場合も、オフィス以外の場所から事業を継続することができるのも大きなメリットのひとつと言えるでしょう。またデータの消失リスクも軽減されるでしょう。
(4)機能や容量のカスタマイズ
クラウドサーバーの場合、機能や容量を必要な分だけ拡張できます。拡張は、サービス提供者に連絡するだけですぐに対応可能です。
4. クラウドサーバーのデメリット
クラウドサーバーにはメリットもがたくさんありますが、その一方で知っておきたいデメリットもあります。どのような点がデメリットとなるのかも確認しましょう。
(1) 情報漏洩のリスク
不正アクセスによる情報漏洩などを防ぐためには、通信の暗号化をはじめセキュリティ設定を万全に行う必要がありますが、パブリッククラウド(AWSやGoogle Cloud)のクラウドサーバーを利用する場合、セキュリティ対策や障害対応はサービス提供者を頼るしかありません。
(2) インターネット接続が切れるとサービスが利用できない
クラウドサーバーは、インターネット接続できる環境でなければ利用できません。オンプレミスサーバーはインターネットに関係なく利用できるため、比較するとクラウドサーバーのマイナス点と言えます。
(3) 長期的には物理サーバーに比べるとコスト高になる可能性がある
クラウドサーバーを利用し続けていると、長期的にはコスト高になる可能性もあります。一方オンプレミスサーバーは、ライセンス契約をすれば、後は年間保守費用だけで済むケースもあります。サーバーの利用年数について予測を立て、クラウドとオンプレミスのどちらが低コストなのか、比較する必要があります。
5. クラウドサーバーで提供されるサービスにはどんな種類があるの?
SaaS、PaaS、IaaSの3種類に分類され、それぞれが英語の頭文字4文字をとっています。
(1) SaaS (Software as a Service)
インターネット経由で、ソフトウェア(アプリケーションまたはアプリ)を提供するサービスを指しています。 パソコンにソフトウェアをインストールしなくても、IDとパスワードでログインすれば、インターネット上のどこからでも、どの端末からでも利用することが可能です。
代表的なサービスは、GoogleのGmail、Microsoft office 365、データを保存し共有するDropboxなどがあります。
(2) PaaS (Platform as a Service)
インターネット経由で、アプリケーションの開発をするプラットフォームを提供するサービスです。PaaSでは、利用者がアプリケーションを導入して、運用が可能です。一般的には、あまり馴染みのないサービスかもしれません。
代表的なサービスは、顧客管理システムのSalesforce、GoogleのGAEなどです。
(3) IaaS (Infrastructure as a Service)
インフラを提供してくれるサービスで、レンタルサーバーの進化版と考えると分かりやすいと思います。サービスを利用する際に必要なハードウェアやOSを、ユーザーが自分で選択することが可能です。
代表的なサービスは、amazaonのAWS、Oracle Cloud Platformなどです。
6. クラウドサーバーのシェアは?
シナジーリサーチグループのデータによると、クラウドインフラサービスに対する企業の支出は2020年は積極的に増加し、35%増で約1300億ドルに達しています。
一方、データセンターのハードウェアとソフトウェアに対する企業の支出は6%減少し、900億ドルを下回りました。これは、クラウドサービスが爆発的に成長し、企業所有のデータセンター機器市場が事実上停滞しているという事実です。
2019年にはこの2つの市場の規模はほぼ同等でしたが、2020年にはCOVID-19が、世界のIT運用におけるこの大きなシフトにさらに拍車をかけることになりました。この10年間で、データセンターの年間平均支出額の伸びはわずか2%、クラウドサービス(IaaS、PaaS、ホステッド・プライベートクラウド)の伸びは52%となっています。
また、シナジーリサーチグループの最新データによると、今年の第1四半期のクラウドインフラサービスに対する企業支出は530億ドルに迫る勢いです。これは2021年第1四半期から34%増加し、前年同期比成長率が34~40%台になったのは12四半期で11回目となります。
このように活気あるクラウド市場が急成長を続ける中、アマゾンは世界市場シェアの33%を占めてリードしています。続くマイクロソフトとグーグルを合わせると、60%近いシェアとなります。
まとめ
クラウドサーバーについては、理解するには専門知識も必要な分野ですので、ちょっと難しい内容だったかもかもしれませんね。
クラウドサーバーは、導入が簡単で低コストなうえ、様々なメリットや恩恵を受ける事ができるサービスです。ビジネスの状況にあわせて、クラウドサーバーの導入を検討されるのが賢明かもしれません。
弊社では、導入前におさえておくべきポイントや、スペック、料金体系、サポート内容などについてご相談を承っていますので、こちらからご連絡ください。
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