PythonのフレームワークFlaskとは?

Netflix、Uber、Spotifyは、Pythonでフレームワークを利用して作られています。
AI(人工知能)関連のシステムで欠かせないプログラミング言語になっているPythonは、主に、データを迅速に処理できる強力なバックエンドのWebアプリケーションを作成するために使用されます。また、データスクレイピング、機械学習、人工知能など、さまざまな利用方法もあります。
今回は、PythonのフレームワークであるFlaskについてみていこうと思います
1. Flaskフレームワークとは?
Flaskは、プログラミング言語Python用の、軽量なウェブアプリケーションフレームワークです。マイクロフレームワークと呼ばれていて、最小限の機能を提供しています。
2022年のスタックオーバーフロー調査 によると、Flaskは最も欲しいWebフレームワークのトップ20にランクインしています。
プログラミング言語のPythonの名前の由来は、開発者がBBCテレビ番組「空飛ぶモンティ・パイソン」が大好きだったからですが、Flaskは、ウィスキー(WSGI:Web Server Gateway Interfaceの略)なので、開発者が、それを「フラスコ(ウィスキーを入れる瓶)」と呼んだことからそのままFlaskが使われるようになってしまったらしいです。どちらもユニークなネーミングですね。
そして、Flaskが使われている主なアプリケーションには次のようなものがあります。
⚫︎ Netflix
⚫︎ Airbnb
⚫︎ Lyft
どれもメジャーなものばかりですね。
2. Flaskのメリット・デメリット
まずはメリットから見ていきましょう。
拡張性と柔軟性 機能が少ない(必要最低限のコア機能のみの)ため後から必要な機能を追加しして作成していきます。細かい機能調整を自由に行なっていくことができます。
軽量化 必要最低限の機能しか実装されていないため、要らない機能により動作が重くなることはありません。
一方デメリットは、
ツールが少ない Django と違って Flask には大きなツールボックスがないため、開発者がマニュアルでライブラリのような拡張機能を追加するという手間が掛かります。
大規模なFlaskアプリに慣れるのが難しい 途中からプロジェクトに参加したWeb開発者は、マイクロフレームワークのモジュール化により、各構成パーツを熟知する必要があるため、設計を理解するために時間がかかるかもしれません。
一長一短といったという感じがしますね。
3. Flask と Django フレームワークの比較
Flask と Django はどちらも、開発者がプロジェクトを簡単に始められるようにるように設計されています。2021年にJetBrains が行ったPython開発者の調査では、DjangoとFlaskが人気を拮抗していました。
さて、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?
(1)使用方法
Djangoは大小どちらのプロジェクトにも適していて、Flaskは近い将来すぐに大きくなる可能性のある小さなアプリに最適のようです。Djangoはフルスタックフレームワークなため、開発するWebアプリケーションによっては、機能は多すぎることがあります。
一方、マイクロフレームワークである Flask は、他のツールと簡単かつ柔軟に連携することができますが、Djangoでは、始める前にプロジェクトのスコープを定義する必要があります。
(2)コミュニティのサポート
Flask は Django に比べてコミュニティが小さくて組織化されていないので、何かに行き詰まったときに、フォーラムなどで修正方法を見つけずらいかもしれません。
(3)セキュリティ
Djangoにはユーザ認証とログイン機能がありますが、 Flaskにはありません。しかし、Flaskのマイクロフレームワークは、クライアントサイドで安全なクッキーをサポートすることができるため、Django はより安全とも言われています。
(4)データベースアクセス
DjangoはORM(Object Relational Mapper:データベース上のデータとプログラム上のデータとの相互の変換を行うためのプログラミング技法)をサポートしていて、複雑なクエリを簡単に書けるようにしています。一方Flaskは、自分でSQL(データを管理するソフトウェアであるデータベースを操作および制御するための言語)文を全て書く必要があります。
(5)コスト
Djangoは、ビジネスコストの観点から、全体的に維持費が安いと考えられています。また、FlaskよりDjangoの経験者を見つけるのは簡単とも言われています。ビジネスとして、あるいは技術チームとして、どのプロジェクトにどちらを使うかを決めるという点では、プロジェクト自体の性質と範囲によるでしょう。
4. まとめ
Flaskは必要最低限の機能しか実装されていないため、動作が軽く、他のツールと柔軟に連携できるので、ライブラリやアプリケーションの構成などを自分好みにしたいWebアプリケーション制作には向いているかもしれません。
Djangoは、最初からWebアプリケーションに必要な多くの機能が揃っていますしルールも決まっているのでチーム開発もしやすいです。
PythonのWeb開発者であれば、両方のツールを使いこなすのがベストですが、少なくとも1つを使いこなす必要があるようですね。
開発を始める前に、開発者とプロジェクト内容と使用フレームワークについてきっちりと検討しましょう。
弊社はPython専門の開発会社です。ご興味やご質問などありましたらこちらからいつでもご連絡ください。