UXとは何でしょう?

UIとマーケティングの関係性も含めてUXについて解説します。
Web制作に携わる方でしたら、一度は「UI/UX」という言葉を聞いたことがあると思います。では「UI/UX」とはなんでしょう。
1. UXって何だろう?
UIとは英語で「User Interface」の略で、日本語だと「利用者との接点」、UXとは「User Experience」で、「顧客体験」になります。
さて、Web上における「UX」をわかりやすく言うと、ECサイトにユーザーが訪問した際に、欲しい商品やサービスにたどり着き、購入に至るまでの体験のことです。
例えば、
⚫︎サーチ機能が目につき易い位置にある
⚫︎フォントやフォントサイズが見易い
⚫︎ページがサクサク進む
⚫︎目に優しいデザイン
など、欲しい情報までの導線設計などを通して、ユーザーの満足度が高ければ「すぐれたUX」ということになります。
また、UXはウェブサイトやアプリに限りません。「ユーザーが満足する対応」という、体験を通して感じる全てのことがUXに当てはまります。
わかりやすい「すぐれたUX」のECサイトで具体例をあげるとしたら、最大手のAmazonのサイトではないでしょうか。
購入の手間が省けるという点においては、ユーザーの過去の購買情報から、よく購入しているもの、定期的に購入しているものなどを抽出して、検索なしで購入ページまで辿り着けるし、とても「すぐれたUX」ですよね。
顧客体験を向上し、長年の改善によって生まれた、「すぐれたUX」を提供するECサイトだと思います。
それでは次に、UIについて説明したいと思います。
2. UIとは
まず、Web上においてはWebページのデザインやフォントなどがUIに含まれます。
「すぐれたUIデザイン」のためには「UIデザインの基本原則」に留意する必要があり、それらは下記の4点となります。
・近接 関連性の高い要素をまとめてグループ化すると、ユーザーが情報を受け取りやすくなります。
・整列 要素を配置する際には、ルールを決めて整列させると見やすくなります。
・対比 重要な要素は、他の要素に比べて目立たせるようにします。文字のサイズ、太字、フォント変更、装飾、アイコン設置などの方法です。
・反復 類似要素に対して同じパターンを使うと、意味がわかりやすくなります。例えば、見出しやリストの体裁を揃える、同じアイコンを使う、などの方法です。同じパターンの反復により一貫性を保つことで、ユーザの「考える」負荷が下がります。
上記4つの原則に沿うとデザインに統一感が出て、Web上の情報を読み取りやすくなります。洗練されたUIは、ユーザーとコンピューター間の情報のやり取りをスムーズにし、快適な操作を可能とします。
しかしながら、どんなに使いやすく設計されたUIでも、時と場合にそぐわなければユーザーにとっては良い体験、「すぐれたUX」にはなりません。
ユーザーがどんなシーンでその製品やサービスを使うかを考えて全体を設計するのが「すぐれたUX」デザインで、その中で実際に触れる部分を設計するのがUIデザインとなるため、UIとUXは相乗効果として捉えるのがよいでしょう。
それではどのようにUXデザインを行なっていけばよいのでしょうか
3. UXデザイン
サイト訪問したユーザーにはなんらかの要求があり、その要求のために目的を達成します。その目的を達成する状況を踏まえてWebサイトを設計することがUXデザインです。
使用する言葉だけではなく、サービスやサイトをデザインするには、ユーザーの理解とユーザーが利用する環境やコンテキストまでを考慮してデザインすることが重要となります。
UXは、「ユーザーの目的」+「コンテキスト*」と解釈するとわかりやすいかもですね。
*コンテキストとは英語で『Context』と表記され、直訳すると『文脈』ですが、こちらでは『前後関係』や『環境』、『状況』という意味で使っています。
それではUXデザインはどのうように設計していけばよいのでしょうか。基本的には、下記2点の作成が必要とされています。
(1) サイトの顧客像(ペルソナ)を設定
ペルソナとは、リサーチから得られた実在する人物の明確で具体的なデータのパターンを見つけ出し、それをもとにつくりあげた架空の人物像です。開発者やマーケターの勝手な思い込みによって設定されたり、変更されるものではありません。
(2) ユーザーの行動の可視化(カスタマージャーニーマップ、ストーリーボード)
カスタマージャーニーマップの描き方は、チャネル*(タッチポイント*)、顧客の行動、思考、感情を表していきます。それらのストーリーを描写することでコンテキストも含まれより明確化されるのがストーリーボードです。
カスタマージャーニーマップとストーリーボードの描き方については、また別の機会に詳しくお話ししたいと思います。
* チャネルとは集客するための媒体、経路のことです。Webサイトや広告、キャンペーンなど流入経路(=チャネル)が多ければ多いほどユーザーが集まり、その経路ごとの集客力を見極めて、効果的な集客方法を打ち出すことができます。
* タッチポイントとはマーケティングにおいては、「顧客と企業との接点」です。顧客接点とも言います。物理的に接触するだけでなく、「広告を見て、サービスのことを認識したとき」「SNSでの商品の口コミを見たとき」などもタッチポイントとされています。
上記より、UXデザインとは、「何を提供するか?」というよりも、リサーチやヒアリングを行って「ユーザーとは?」から考えていく必要があるということでしょう。
仮説や検証を繰り返しながら精度を磨いて行く必要があると言えます。
次に、UXとマーケティングについて考察してみたいと思います。
4. UXとマーケティング
最近ではマーケティングの中にもUXを取り入れる思考があるようですが、マーケティングとUXは同等でビジネスを成功させるために存在していて、マーケティングの中にUXが入っているわけではありません。
マーケティングとUXはアプローチが違いますが、両者共にイノベーションを生み出す原動力となっているものです。
マーケティングも経済や市場の変化と共に考え方の追加や変化が起こり進化しています。これは、コンテキストが変わればユーザーの行動も変わるようにUXでも同様のことが言えるということです。
例えば、バナーの掲載ですが、ユーザーにとって邪魔な位置にあるバナーも、アクセス数が取れるなどの理由で無理やり配置してしまうケースがあります。
サービスや商品を認知してもらえる可能性がありますが、ユーザーの操作の邪魔になったり、必要でない広告はユーザーから嫌われて、Webサイトの離脱の原因になることもあります。
数値だけに目を奪われて、短期的な目標で無理やり強引なことをするとユーザーは置いていかれた気分になり、結果的にそのサイトに訪れることは無くなります。
このように、現在のマーケティングはよりユーザー視点で長期的にプラスになる方向性が重要になってきています。
まとめ
UXが重視されるように、ユーザーが求めるサービスや商品の水準が上がってきている時代になってきました。
UXデザインを行って行くには、知識や専門性が必要な領域ですが、お客様の声に耳を傾けたり、友達や家族にWebサイトを触ってもらい感想を聞くという小さなことから始めることもできます。
もしも、やり方がわからない、まだよく理解できないというようなことがあれば、私たちは無料診断をおこなっていますので、いつでもこちらからご連絡くださいませ。
参考文書:
*Robin Williams『ノンデザイナーズ・デザインブック』
*Philip Kotler『コトラーのマーケティング3.0 ソーシャルメディア時代の新法則』
*河合俊輔『UX+理論で作るWebデザイン』